2011 年 04 月 28 日 (木)|RSS Feed
心虚血状態とは

by 漢方屋

心虚血状態とは

心臓の表面にある細い血管が冠動脈です。心臓にエネルギーと酸素を送る、命綱です

心臓は筋肉が動いて、血液ポンプの役割を果たす臓器です。心筋と呼ばれるこの筋肉が動き仕事をするには、エネルギーや酸素が必要です。そのエネルギーと酸素は冠動脈という動脈が血液を心筋に供給することで得られます。つまり冠動脈は工業地帯に石油を送るパイプラインのような重要な生命線なわけです。

ところがこの冠動脈が動脈硬化をおこし、狭くなると、あるいはプラークと呼ばれる脂肪の袋が大きくなると、心筋に十分な血液が送れなくなり、問題が生じます。パイプラインが流れにくくなり工場の仕事に支障がでるような状態、これが心虚血状態です。略して虚血とも呼びます。虚血になりますと、しばしば胸が痛くなったり胸が重苦しく、あるいは不快な感じになります。いわゆる狭心症です。

プラーク破裂で血栓ができると心筋こうそくが起こります

さらに虚血が進み、あるいはプラークが破れて血栓ができ、冠動脈が完全に閉塞してしまうと、そのエリアの心筋が死んでしまいます。パイプラインが壊れて工場もつぶれてしまう、いわゆる心筋梗塞です。強い痛みが続きますが、糖尿病の方では痛みがはっきりしないことも。心筋梗塞になると心臓の力が落ちて心不全になり、また不整脈も出て命にかかわる状態となりかねません。ただちに救急車で病院へ急ぐ必要がありますが、その前に、狭心症の段階で早めに診察と検査を受けて、必要な予防策や治療を受けておけば安心です。

とくに糖尿病や慢性腎不全・血液透析あるいはコレステロール・中性脂肪などが高いかた、ヘビースモーカー、高血圧、身内に同様の病気の方があるなどの時は要注意です。

心虚血状態の検査と治療

検査では心電図や胸部レントゲン、血液検査が役立ちますが、狭心症の最中でなければ診断がつかないことが多いです。そこで運動をしていただき、心臓に少し負荷をかけて心電図や症状がどうなるかを見る検査、たとえばトレッドミルが役立ちます。またラジオアイソトープを注射して心臓の心筋に十分血液が流れているかを調べると、心虚血の有無や程度・範囲がわかります。

しかし心虚血が冠動脈の狭窄や閉塞で起こる以上、冠動脈そのものを見れば治療に直結した検査になります。それが心カテーテルによる冠動脈造影です。カテーテルという管を冠動脈の入口まで進め、そこで造影剤というレントゲンで映る液体を注入すると冠動脈がきれいに見えます。どこが狭いか、どこが閉塞しているかもすぐわかります。そして冠動脈に問題があればそのままカテーテルを用いた治療へと進むこともできます。
冠動脈に問題があるかどうか不明な段階ではカテーテル検査はやや大げさです。そこで近年MDCT(マルチスライスCTスキャン)という検査で、手の静脈から造影剤を点滴でいれつつ冠動脈を映し出す方法が進歩しました。横になって、点滴を受けるだけで短時間で検査が終わります。普通は直径1mmの冠動脈まできれいに見えますので、主な冠動脈に狭窄や閉塞があればすぐわかります。

心虚血状態は予防が第一

日頃の健康管理と健康診断が大切です。このように早めに診断し、治療をすれば大事に至ることなく元気に回復できるのが心虚血・虚血性心疾患です。上記の症状(胸痛など)があれば速やかに病院とくに循環器内科や心臓血管外科あるいは救急科のある病院へ行きましょう。また上記の糖尿病や血液透析などの方は、平素から健康診断を受け、また血液所見その他をきちんとコントロールすれば冠動脈が守られやすくなります。予防が一番ですので平素の健康管理と定期健診を大切にしてください。