2011 年 06 月 28 日 (火)|RSS Feed
免疫系の役割とは?

by 漢方屋

免疫系の役割とは?

 免疫系では、さまざまな細胞が、それぞれの役割を果たしながら、体内の異物を排除しているが、中でも最も重要な役割を持っているのが、T細胞と呼ばれるリンパ球です。このリンパ球は、胸腺と呼ばれる臓器で作られています。胸腺がラテン語でThymusと表記されることから、ThymusのTを取ってT細胞というわけです。このT細胞には、体内に入ってきた異物を見つける触覚のようなものが付いていると考えてください。とはいえ、このT細胞そのものには、異物を発見する能力はないのです。つまりウィルスや他の生物のタンパク質がそばにいても、何も行動を起こさないのだ。つまり、ウィルスにとってT細胞は敵ではありえません。体内に侵入したウィルスは、細胞内に入り込み増殖を始めます。すると、ウィルスに冒された細胞の表面にはある変化が生まれます。また、異物であるタンパク質はマクロファージという白血球に食べられますが。その白血球の表面にもある変化が現れます。

 急に話が変わるが、あなたが小学校にはいるときのことを思い出してください。学校に持っていく持ち物に名前を書いてもらっていたはずです。上履き、筆箱、ぞうきん、ランドセル。えんぴつ1本1本にも名前を書いていた人もいたはずだ。大人になると、そういうことをする人は少なくなります。ですが、人間の体内では、驚くべきことにほとんどすべての細胞に名前が書いてあります。それがHLA抗原と呼ばれるものです。さきほどウィルスに侵された細胞やタンパク質を食べたマクロファージにも、このHLA抗原という名のIDカードが付いていますが、ウィルスやタンパク質由来のHLA抗原が表面に浮かび上がるのです。つまりは、IDカードに染みが付くようなものでしょうか。ともかく、他のすべての細胞と同じHLA抗原ではなくなってしまうのです。

 T細胞が関心を示すのは、この毛色の違うHLA抗原です。T細胞はこの毛色の違うHLA抗原を持つ細胞を発見すると、がぜん活発に増殖し始めます。T細胞というのは実は総称で、実際にはキラーT細胞、ヘルパーT細胞、サプレッサーT細胞の3つがあります。キラーT細胞はこうした異物に直接攻撃を加えていき、ヘルパーT細胞はいわゆる抗体を作るための指示を出します。もうひとつのサプレッサーT細胞は、不思議なことに抗体を作ることを抑制します。このあたりが免疫系の精妙かつ微妙なところですが、このサプレッサーT細胞の働きが弱まっているのが、花粉症などのアレルギー症状の原因になっています。