2016 年 11 月 24 日 (木)|RSS Feed
アダルトチルドレンを知ろう

by 漢方屋

 

アダルトチルドレンを知ろう

アダルトチルドレンという言葉を耳にされたことがあるという方も多いのではないでしょうか。最近はメディアでも取り上げられる機会が増えてきていますから、それを観て「もしかしらた自分もアダルトチルドレンではないか」と感じる方も増えてきているようです。

ですが、中にはアダルトチルドレンの意味を誤解されている方もいらっしゃいます。アダルトチルドレンは直訳すると「大人子供」となりますから、ここから「体は成長して大人になったけれど、中身の成長が伴っていない未熟な人間」という意味に捉えがちです。ですが、これは全くの誤りで本来の言葉の由来や意味とは全然違うものです。

また、アダルトチルドレンは精神疾患の1つかと考えてしまいがちですが、あくまで状態を示す言葉であって、病名ではありません。そのため、病院を受診してもアダルトチルドレンと診断されることはなく、厳密な診断基準もありません。

アダルトチルドレンの方は、多くの問題や生きにくさを感じている場合がほとんどです。もし自分がそうかもしれないと感じている方や身近にアダルトチルドレンではないかと思われる方がいたら、ぜひ正しい知識をつけて適切な対応を取るようにしてください。

アダルトチルドレンから回復することは不可能なことではありません。自分の中だけで思い悩まずに、回復へ向かって1歩を踏み出してみてくださいね。

アダルトチルドレンとは?

大人になってからも、心に子供の頃の傷を持ったままの人

アダルトチルドレンとは、家庭としての正常な機能を果たしていない機能不全家庭で成長したために、大人になってからも心に傷を持っている人のことを言います。

子供は親から精神的な支配を受け続けて成長すると、自分自身では何も決めることが出来なくなり、誰かに支配してもらわないと何も出来なくなってしまうことがあります。また、親も子供が何でも言うことを聞くのが当然の状況になっているため、次第に子供に依存していき共依存の関係に陥ってしまうケースが少なくありません。

共依存になると、親と子供の境界が曖昧になり、子供の頃に育むべき感情を育てることが出来ず、親の気持ちに沿った行動ばかりする子供になってしまいます。これが大人になってからアダルトチルドレンになってしまう、根本的な要因とされています。

語の発祥

アダルトチルドレン(Adult Children:AC)という言葉は、もともとはアルコール依存症の親の元で育った子供(Adulut Children Of Alcoholic:ACOC)のことを指していました。

それが最近になって、機能不全家庭の元で感情を抑えつけられて育った場合にも、同じような傾向が見られることが分かってきたために、もう少し広い範囲の意味合いで使われるようになってきました。

日本における近年の考え方

アダルトチルドレンの原因には、下記で紹介する機能不全家庭が根幹にあります。ですが、近年、日本においてはもっと広い意味でアダルトチルドレンという言葉が使われる傾向にあります。

それは、子供の成長に悪影響を与える親の元で成長し、そのまま大人になってからも精神的影響を受け続けている人々のことを、アダルトチルドレンに含めるという考え方です。さらにこの考え方をもう一歩進めて、子供の頃の家庭環境のためにメンタルケアが必要な方のことを総称して、アダルトチルドレンと呼ぶこともあります。

アダルトチルドレンの原因

アダルトチルドレンの原因となる機能不全家庭には、主に以下のようなものがあります。

・アルコール依存症の親がいる(ギャンブル、借金、薬物なども含む)
・夫婦仲が険悪などの家庭問題がある
・子供に対して過保護または過干渉
・親が子供を虐待している
・介護が必要な病人がいて、その介護に全てを費やされている
・宗教を信仰している家族がいて、入信するのが当然と考えている

自分の欲求や意思を表に出すことが許されないというのが、これらの家庭環境に共通する特徴です。

このような機能不全家庭においては、子供は親から守られることもなく、また愛情や教育を十分に受けることもないまま成長してしまうケースが非常に多い傾向にあります。そのため、成長してからも上手く社会に馴染むことが出来なかったり、人付き合いの仕方が分からなかったりするなど、様々な問題を抱え込むことになってしまうのです。

アダルトチルドレンの問題点

アダルトチルドレンは病気ではありませんが、その状態が続くと人生に様々な悪影響を及ぼすことになります。ここではその代表的なものをご紹介します。

(1)依存症
関係依存症:人間関係、恋愛、マザコン、エディプスコンプレクス(同性の親に対するコンプレックス)、共依存
物質依存症:アルコール、タバコ、カフェイン、薬物
過程依存症:特定の行為に対する依存、ギャンブル、摂食障害、買い物、仕事、セックス

(2)問題行動
虐待、暴力、自傷行為、自殺など

(3) ストレス性障害
肩こり、脱毛症、ヒステリー、過呼吸、心身症、自律神経失調症など

(4) 精神障害
抑うつ、パニック障害、神経症、強迫神経症、不安神経症など

(5) アダルトチルドレンの世代連鎖
アダルトチルドレンの方が子供をもうけると、自分が親にされたことを子供に対しても行ってしまうケースが多い傾向にあります。そのため、自分の抱えている問題がそのまま子供に継承され、新たなアダルトチルドレンの原因となってしまうことも少なくありません。

アダルトチルドレンとインナーチャイルド

インナーチャイルドとは、自分の心の中に存在する傷ついた心を持った、子供時代の自分のイメージのことを言います。

子供の頃に親から抑圧されて、自分を自由に出すことが出来なかったために、心の中に様々な感情(怒り、憎しみ、悲しみ、絶望など)が閉じ込められて、そのままずっと心の中に留まり続けているものです。

普段、インナーチャイルドは自分の潜在意識の中にひっそりと存在しているのですが、大人になってからも子供時代の家庭と似た状況に陥ると反応し、その状況に対して対処しようと動き始めます。

ですが、この対処法は子供時代の自分が考えた方法であるために、自分の感情を抑制するという方法で対処しようとする場合がほとんどです。そのため、心身ともにストレスを感じ、別の方法でストレスを排出しようとします。

その方法として代表的なものに、お酒、ギャンブル、薬物、依存、家庭内暴力、摂食障害、精神疾患などが挙げられます。そのため、アダルトチルドレンの方やその周囲の方は、これらの問題に悩まされることが少なくありません。

アダルトチルドレンの5つのタイプ

ヒーロー(スーパーチャイルド)

親から「良い子」「優秀な子」「しっかり者」と評価されるためにひたすら頑張ってしまうタイプです。「良い結果を出せば褒められるけど、悪い結果を出せばけなされる」という条件付きの愛情により育てられたタイプに多い傾向があります。

何事にも一生懸命取り組むため、成績優秀で優等生と評価を受けている子が多いです。ですが、それは自分がやりたいから努力したのではなく、「親から認められるため」「家庭を穏やかにするため」に頑張ったものです。「頑張ることを止めたら、親から見捨てられる」という恐怖感を常に抱えていることに加え、「結果が良ければそれで良い」「優秀でない人間には存在意義がない」という考え方になりやすいという問題点があります。

また、見捨てられるという恐怖感から、自分の体調が崩れても頑張り続けてしまうという方も少なくありません。

スケープゴート(問題児)

ヒーロータイプとは真逆で、トラブルを起こすことにより自分の存在を周囲に認めさせようとするタイプです。また、自分が悪者になることで、「この子さえいなければ我が家の問題が解消されるのに」という幻想を家族に抱かせて、家族が崩壊してしまうことを防ぐスケープゴート(生贄)タイプでもあります。

「自分には価値がない」「自分が必要とされることなんてない」という思いから、家庭や学校で問題を起こすこともしばしば見られます。ですがこれらの行動の奥底には、「寂しい」「誰か助けて」という気持ちが隠されている場合がほとんどです。

このタイプは成長してからも、人に対して暴力的であったり、過度の依存をしてしまったりと、人間関係をうまく構築することが出来ない傾向があります。

ロストチャイルド(忘れられた子供)

「大人しくて手がかからない子」と親から判断されてしまった子に見られるタイプで、「自分は必要ない人間なんだ」という孤独感を抱えています。これは、自分の存在を目立たせないように息を潜めて生活し、緊張状態にある家庭環境から身を守ろうとしている気持ちの表れとも言えます。

気持ちの奥底には誰かと深い関係を築きたいという思いがありますが、自分自身の殻を破る恐怖感から、閉鎖的で内向的な大人に成長する場合が多いようです。

クラウンマスコット(道化師)

家庭内に緊張が生じると、突然おどけたりするなどのトンチンカンな言動を取って、緊張感を和らげて問題をごまかそうとするタイプです。ムードメーカーと称されることも多いですが、場の空気を読みすぎてストレスを溜めてしまったり、自分を極端に過小評価するといった傾向も見られます。

幼い頃から自分の感情を殺して道化役を演じてきたために、自分が本当は何を望んでいるのか、自分はどう感じているのか分からなくなっているケースも少なくありません。

ケアテイカー(お世話焼き)

自分を殺して、ひたすら兄弟や親の面倒を見ることで家庭に問題が生じるのを防ぎ、家庭内の調整役として成長してきた方によく見られるタイプです。

献身的で人間の出来た方だと評価されることもありますが、自分以外の誰かの世話をすることが全てであって、自己主張が出来なかったり、自分が何をしたいのか分からなくなっている場合が多いようです。

アダルトチルドレンの9つの特徴

白黒思考

何事も正か否かをはっきりさせたいという、極端な考え方のことを白黒思考と呼びます。また、自分とは異なる考え方や意見は全て間違っている、または悪であるという考え方も白黒思考の1種です。このような極端に偏った考え方は、多くのアダルトチルドレンに見られる特徴的なものになります。

自己の正当化

たとえ自分が悪かったとしても、自分以外のものにも責任があるのではないと反射的に考えて、必死に責任を回避しようとするのも、アダルトチルドレンに見られる特徴的な傾向です。また、自分に責任がかからないようにするためであれば、他者を否定するのも厭いません。このような責任回避もアダルトチルドレンに特徴的な傾向と言えます。

偏った一般化

アダルトチルドレンの多くに、たった1度の経験をもとに、すべての物事がそうであるかのように思いこむ傾向が見られます。

例えば、自分の親が料理の際に料理の際に一切だしの素などの人工調味料を使っていなかった場合、彼女と同棲した時に彼女が人工調味料を使用していると、それをあり得ないものとして強く否定するといったものです。

そのほか、何か1つでも良くない出来事が起こると、また同じことが繰り返し起こるのではないかと感じて、その原因となる物事を避けようとすることもあります。

自分の目に見えているものや自分の経験を通してしか物事を判断できないというのも、アダルトチルドレンの特徴の1つです。

一つの物事にとらわれる

何か少しでも良くない出来事が起こると、そればかり気になってしまって、それ以外の部分には全く目が行かなくなってしまうことがあります。また、たとえ良い事と悪い事が同時に起こったとしても、良い事は無視して悪い事ばかりを考えてしまう事もあります。このような視野の狭さも、アダルトチルドレンに見られる特徴的な傾向です。

マイナス思考

良い出来事があったとしても、それを素直に受け取る事はせず、どこかに悪い事があるのではないかとわざわざ粗探しをして、悪い方向へ考えようとする傾向が見られます。

自分にとって望ましい出来事であっても、何か裏があるのではないかと深読みし、ネガティブな考え方に繋げようとしてしまうのです。このような思考パターンもアダルトチルドレンに見られる特徴的なものです。

思い込み

人や物事に対して、自分の主観で先読みや早合点をして、自分が考えたいように妄想する傾向があります。それがたとえ事実からかけ離れていて、自分の考え方が誤っていると明らかに分かる場合でも、自分の解釈を優先してしまうことも少なくありません。

アダルトチルドレンでは、このように自分の解釈が完璧に正しいと信じて疑わない傾向が見られる場合が多いようです。

拡大解釈と過小評価

アダルトチルドレンでは、自分の失敗や短所は実際以上に過大に捉え、自分の長所は過小評価するという傾向が見られます。
ですが、他人に対しては全く逆で、少しの成功やちょっとした長所でも過大に評価し、欠点や失敗にはほとんど注目することはありません。これは自尊心が欠如していることから生じる特徴と考えられています。

客観的にとらえられない

あくまで自分が経験したことや感じたことが全てという主観的な考え方しか出来ず、客観的な見方が出来ないというのも、多くのアダルトチルドレンで見られる傾向です。また、他人も自分と同じように感じていると信じており、別の考え方があるということを認めないこともあります。

自分の感情だけで物事を決めつけるという主観的な考え方しか出来ず、客観的な視点を持つことが出来ないというのは、アダルトチルドレンに見られる大きな特徴です。

極端な自責

自己の正当化と矛盾するようですが、これは自分に責任がない場合であっても、ちょっと関係があったために自分が全て悪いと思いこむことを言います。また、他人の責任をわざわざ背負い込もうとすることもあります。

本当に自分に責任がある場合には全力で回避しようとしますが、明らかに他人に責任がある場合は自分が責任を被ることで他者を優先しようとします。このような自己矛盾を抱えていることも、アダルトチルドレンに見られる特徴と言えます。

アダルトチルドレンを克服する方法

専門のカウンセラーに相談

アダルトチルドレンを克服しようとしても、自分1人だけでは出来ることに限界がありますし、自分自身の辛い感情を見つめ直すことで心が不安定になってしまうことも少なくありません。そんな時は、ぜひ勇気を出して専門のカウンセラーに相談してみてください。誰かに話を聞いてもらうことで心が楽になることは多いですし、自分自身の考え方の偏りに気づくきっかけにもなります。

カウンセリングの内容は、カウンセラーによっても異なりますが、代表的なものには以下のものがあります。

(1)内観療法
自分の内面と向き合い、これまでの親子関係において自分がどのような存在であったかを確認する方法です。親からしてもらったこと、自分がしてあげたこと、親に迷惑をかけたことという3つの観点から思い出し、気づきや反省点を得て、考え方に変化を与えることを目的としています。
この治療には数日かかる場合が多いですから、専門のカウンセラーを探す必要があります。

(2)認知行動療法
今の考え方が適切であるかを見直し、必要があれば考え方を改めていく認知療法と、まず行動を変化させてそれに合わせて思考パターンや感情に変化を与える行動療法を組み合わせたものです。
認知行動療法に回復に必要なワークや心理療法をを組み合わせて行うのが、アダルトチルドレンの回復方法としては多いようです。

<料金について>
アダルトチルドレンは病気ではないため、治療のためにカウンセラーを利用しても保険が適用になりません。そのため、カウンセリングの料金は自分で思っていたよりも高額になる場合も多いです。

また、料金はそのカウンセラーによっても異なりますので、気になる方は事前に電話などで料金やカウンセリングの内容について確認しておくようにしてください。相場の目安としては、1時間あたり1万円前後の料金体系が多いようです。

チェックシートを利用する

アダルトチルドレンを克服するためには、自分自身がアダルトチルドレンであると認識することが克服への第一歩となります。自分自身ではなかなか認めにくい部分もありますので、チェックシートを利用して自分がアダルトチルドレンの可能性があるのか、まず確認してみてください。

もし、下記の項目に10個以上該当するとアダルトチルドレンの可能性が高いと言われています。また、該当の項目が多いほどアダルトチルドレンである可能性が高くなります。

<アダルトチルドレンチェック>
・人と深く付き合うことが苦手
・つい良い人を演じて、自分をないがしろにしても他者を優先してしまう
・自分は平均以下だと感じることが多い
・何かうまくいかないとすぐ嫌になる、完璧主義の一面がある
・自分を信じることが出来ない。欠点ばかり気になる
・争いを避けられるのであれば、自分の意見を変える
・常に不安や心配事がある
・自分には価値がないと思う
・他人と触れ合うことに恐怖を感じる。自分は孤独な人間だと感じることが多い
・誰も自分を愛してくれないと思う
・ほとんど怒ることはないが、一度怒ると自分を制御出来なくなる
・新しいことを始めたくても、不安や恐怖感から始めることが出来ない
・生きている意味が分からない
・人生において希望や喜びを感じることが少ない
・過去の失敗や将来起こりうる不安事を考えて、頭がいっぱいになってしまう
・人前で自分の本心を出す事が出来ない
・友達が少なく、親友と思える人がいない
・自分が本当は何をしたいのか分からない
・家族との関係に溝を感じる
・心に余裕がない。自分や他人のミスを必要以上に責めてしまう

過去の事実を受け入れる

アダルトチルドレンを克服するためには、まず自分がアダルトチルドレンであると認めることが大切です。アダルトチルドレンのようなパーソナリティ障害は、自分自身で気づいたり認めることも多いかもしれません。

ですが、自分自身がアダルトチルドレンであると自覚を持つことで、誰かに助けを求めたり、必要な対処を行えるようになります。カウンセリングなどを受けることで心の傷が癒され、自分を認めることが出来るようになれば、徐々にアダルトチルドレンを克服していくことが出来るはずですよ。

インナーチャイルドセラピー

インナーチャイルドセラピーとは、自分自身の心の中にいる傷ついた子供時代の自分(インナーチャイルド)を癒してあげる治療法です。成長過程で身についてしまった「生きにくさ」を癒すためには、非常に有効な手段であると言われています。

インナーチャイルドセラピーは下記のような順序で行われることが多いです。

(1)原因を探す
まずインナーチャイルドが傷ついてしまった原因を、自分の記憶から探ります。自分の感情を抑えなければならなかった事、傷ついた事、本当はやりたかった事があったのにできなかった事など、傷つくきっかけとなった出来事を思い出していきましょう。
原因と思える記憶を1つずつ紙に書き出すなどして、最も今の自分に影響を与えていると思われる出来事を特定します。

(2)分析する
原因が分かったら、次にその時何が起こったのか、どう感じたのか、本当はどうしたかったのかと言う観点から自分自身を分析します。
特に大切なのは、「本当はあの時どうしたかったのか」と言う気持ちです。このような満たされなかった気持ちがインナーチャイルドの傷である可能性が非常に高いため、これをきちんと認識することとで次のステップに繋げることが出来ます。

(3)寄り添う
インナーチャイルドが傷ついた原因や、あの時どうしたかったのか分かったら、大人になったあなたがインナーチャイルドに寄り添って訴えに耳を傾け、感情を解放してあげましょう。時には思い切り泣いたり怒ったりすることも必要です。

インナーチャイルドと対話する時によく用いられる手法は、手紙を書くことです。まず傷ついた子供時代の自分が訴えたかったことを現在の自分宛に手紙にしてみましょう。

次に、現在の自分から過去の自分に対して返信します。過去の自分を肯定したり、自分が守ってあげると安心させてあげることを続けていくと、次第にインナーチャイルドの傷は癒されていきます。

自分の感情を見つける

アダルトチルドレンを克服するにあたり大切な事は「自分は本当は何がしたいんだろう?」という問いに対し、納得のいく回答を自分自身で見つけることです。そのためには、もし自分が生まれた過程が愛情あふれる健全な家庭であったら、「自分はどうなっていただろう?」「自分は何がしたいと思うだろう?」と考えることが、自分の望むことを見つけるきっかけになると言われています。

自分が持つ健全な家庭のイメージを通して、「子供の頃は本当はこれがしたかったのに、家庭環境のせいで出来なかった」ということが次第に分かってくるようになります。この「本当にやりたかった事」を少しずつ集めていく事で、本当の自分を再構築する事がアダルトチルドレンの克服につながると言われています。

また、この一連の流れはグリーフ・ワーク(嘆きの作業)と呼ばれています。グリーフ・ワークでは、まず親に対して激しい怒りを感じる方がほとんどです。その後、やりたかったのに出来なかったという悲しみを認識して、それを受け止めていきます。
そうすることで、いつまでも過去に縛られる必要がないことを認めることが出来、本当の自分が再構築されていくと考えられています。

悪い癖を認め良いイメージへ変える

アダルトチルドレンの方によく見られる傾向の1つとして、自分の悪い癖を見なかったことにしたり、認識していてもそこに触れないようにしたりするというものがあります。この悪い癖に目を背けていては、いつまでもアダルトチルドレンは克服出来ません。

そのため、自分の悪い癖を認め、その癖をどのように改善していけば良いのかイメージしていく必要があります。「あの時はこうしていれば成功したな」と考えることで、次回同じ場面が来た時に対処できるようになりますし、良いイメージの思考の癖をつける練習にもなります。

ただ、また同じ場面が来るとは限りませんし、自分の悪い癖について考えることは精神的にも負担を覚えることが多いですから、途中で挫折してしまいそうになることもあるかもしれません。けれども、アダルトチルドレンを克服したいと思うのであれば、強い気持ちを持って取り組み、乗り越えていくことが必要になります。

主観ではなく客観的にものごとを考える

アダルトチルドレンの方は、どうしても自分の主観で物事を考えてしまい、偏った思考になりがちですから、その点に気をつけて考えてみることが大切です。客観的にものごとを考えるコツは、「自分」だけでなく、「相手」と、さらに「第三者」の視点から考えることで、より理解しやすくなります。

まず最初に「自分」の視点から、自分が思ったことや感じたことを考え、そこから次の行動を検討します。次に「相手」の立場から、相手がどのように感じているのか想像してみましょう。客観的なものごとの考え方、というとこれで十分に感じてしまいますが、相手の立場にたっているようで独りよがりになってしまうことを避けるために、もう一歩踏み込んでみましょう。

相手だけではなく、「第三者(一般論)」のことを想定し、たとえば、この状況は一般的にはどう感じられることが多いのか想像してみます。これらの考えを自分の主観なしにすり合わせて考えることで客観的な思考パターンが身についてきます。

行動パターンを変化させる

アダルトチルドレンの方の多くは、周囲の人間関係にうまく溶け込めないという悩みを抱えています。

上記で挙げた様々な方法により、自分の行動パターンやその原因が理解出来れば、周囲との不適応の原因を作っている行動パターンについても見直すことが出来るようになります。ですが、いきなり行動パターンをガラッと変えてしまうのは難しいですから、自分にできる範囲で少しずつ変えていくことが大切です。

例えば、人にNOと言うことが出来ず、自分をないがしろにし続けることにストレスを感じて疲労してしまっているようであれば、どうすればNOと言えるようになるのか考えてみてください。

自分1人だけで考えるのが難しい場合はカウンセラーに相談するという方法もありますし、誰かにその行動パターンの練習をさせてもらえるようお願いするのも良い方法です。

人間関係を豊かにするスキルを身に付ける

アダルトチルドレンの方には、失敗しそうなことや自分の嫌なことは極力避けようとする傾向がみられます。ですが、嫌なことを避け続けていてもコミュニケーションスキルを上げることは出来ません。

失敗することで自分の改善点が分かり、次の機会の成功に繋げることが出来ます。コミュニケーションスキルは自分だけで考え込んでいても、高くなりません。何度もトライ&エラーを繰り返すことで、次第に上手に人間関係を築くコミュニケーションの取り方が分かってくるものです。

今の状況から抜け出したいと強く思えるようになったら、失敗を恐れず、勇気を持って1歩を踏み出すようにしてくださいね。

様々なことにチャレンジしてみる

新しいことにチャレンジするのは、失敗してしまうことの恐怖感からなかなか踏み出せないことも多いですよね。

ですが、アダルトチルドレンを克服するために大切なのは、「本当に自分のやりたいことを見つける事」です。もし、自分が興味を持てる何かが見つかったら、勇気を出してチャレンジしてみてください。もちろん失敗する事だって少なくありません。でも、子供の頃と違い、何かに失敗したとしてもあなたに危害を加える人はいないのではありませんか?

また、何かにチャレンジする際に成功のイメージを持って取り組む練習をすることもアダルトチルドレンの克服に繋がりますし、チャレンジして良い結果が得られれば達成感が得られて自信を付けることにも繋がります。

他者に受け入れられることを感じる

アダルトチルドレンの方には、自分を好きになることが出来ず、どうしても自分を受け入れることが出来ないという方が少なくありません。このような方々には自己評価が低いことに加えて他人を過大評価して自分と比べてしまったり、自分の性格がどうしても受け入れることが出来なかったりするために自分を受け入れることが出来ない傾向がみられます。

また、自分で自分を受け入れることが出来ないために、他人も自分などを受け入れるはずがないと考えて、他人に対して心を閉ざし、うまく人間関係を築くことが出来ないことも多いです。自分自身の短所と長所をしっかりと把握し、それを受け入れることが出来れば、他人にも自分を受け入れてもらおうと考えることが出来るようになります。

まずはしっかりと自分自身と向き合って、自分の中にある葛藤や矛盾を受け止め、他人にも自己開示出来るようにすることが、アダルトチルドレンの克服に繋がります。

健全なコミュニケーションを学ぶ

アダルトチルドレンの方は、親とのコミュニケーションがうまく取れていなかったために、健全なコミュニケーションの方法や自己表現の仕方を学べなかった方がほとんどです。そのため、社会に出てからも人間関係を築くために必要となる、自分を大切にした行動や言動をとることができず、コミュニケーションに問題が生じていることが少なくありません。

人から拒絶されたり怒られないようにするために、自分を殺して他人に合わせたり、我慢や避けるなどの振る舞いをしてしまい、適切な人間関係を築くことができないのです。

他人とコミュニケーションを取るために、自分を犠牲にする必要はないこと、人に恐怖心を覚える必要はないことをしっかりと認識することで、対等な人間関係を築くことが出来るようになっていくといわれています。

自助グループに参加する

自助グループとは、同じ症状に悩む人たちが集まって話し合い、問題解決の糸口を見つけたり、共感して理解したりすることで、症状の改善を得ようとする場のことを言います。

アダルトチルドレンの治療は長期間に渡る場合がほとんどですから、1人では途中で辛くなって完遂出来ないことも多いのです。そのため自助グループには、同じ悩みを持つ仲間と支え合い、お互いに頑張っていくことで治療を最後まで続けるという目的があります。

また、自分と似たような状況にある人と交流を持つことで「このことに悩まされているのは自分だけではない」という安心感を得られる場合も少なくありません。

これまで「誰も自分の気持ちなんて分かってくれない」と思っていた方でも、自助グループに参加して他者からの共感を得られることで心が軽くなったという方もいらっしゃいます。同じ目的を持って行動出来る仲間の存在は、アダルトチルドレンを克服するための大きな力となることは間違いありません。

薬物療法

アダルトチルドレンは病気ではないため、アダルトチルドレンを根本的に治療する薬はありません。ですが、症状として精神疾患や不眠などが生じている場合は、必要に応じて抗不安薬や抗鬱薬、睡眠薬が処方される場合もあります。

また、アダルトチルドレンが原因でうつ病や不安症などの精神疾患を生じていたり、アルコール依存症や薬物依存症に陥っている場合は、まずこれらの疾患を優先的に治療する必要があります。

これらの疾患による症状がある程度落ち着いてきたら、改めてアダルトチルドレンの治療が行われます。アダルトチルドレンの治療については、薬物治療はあくまで補助的なものであり、治療の中心になることはないと覚えておいてくださいね。

諦めないでコツコツと成功へ

幼い頃から築き上げてきた自分を変えることは非常に難しいです。ここでご紹介したように、文章で見ると簡単なことに感じますが、実際に行おうとすると時間もかかりますし、自分の精神的な負担も非常に大きい場合がほとんどです。

治療中に幼い頃の辛い記憶を思い出して、治療前よりも調子が悪くなる場合もあります。

アダルトチルドレンは、治療を続けてもすぐに効果が出ることは少ないですし、直線上に綺麗に治るというのは非常にレアケースです。多くの場合、治療への挫折を感じたり、失敗と成功を繰り返しながら治療を進めていくことになります。

ただ効果は見えにくいですが、治療を続けることで少しずつ症状は改善して言います。辛いことも多いかもしれませんが、コツコツと諦めずに地道に続けていくことで成功に繋がります。焦らず、じっくりと治療を続けていくようにしましょう。

まとめ

自分では理由がよく分からないけれど、上手に他人とコミュニケーションを取ることが出来ない、対等な人間関係を築くことが出来ないなど、どこか生きにくさを感じている方は少なくありません。

そんな時、「これは自分の性格だからどうしようもない」と諦めてしまわず、まず自分自身のことを見つめ直してみてください。もし、幼い頃の家庭環境に問題があり、それが心の中でずっとくすぶっているようであれば、アダルトチルドレンである可能性もあります。

アダルトチルドレンは、適切な方法で自分と向かい合うことで改善することが出来るとされています。その道には困難があるかもしれませんが、諦めずにやり通すことできっとあなたの人生はプラスに変わるはずです。

自分だけで解決することが難しい場合は、カウンセラーや身近な人などに協力をお願いするのも良いと思います。誰のためでもなく、自分自身のために、ぜひ自分自身と向き合い、そこにある問題から逃げずに解決するよう努力してみてください。