2011 年 03 月 15 日 (火)|RSS Feed
地震災害に伴う感染症(2)

by 漢方屋

地震災害に伴う感染症(2)

災害時の滅菌・消毒について:災害時では医療を行うために病院内における電気、水道、ガスなどのライフラインの確保・整備が重要である。電気システムが破壊されると、空調管理や器械による器具滅菌が不可能となる。断水や水道管の破裂、下水道の逆流、洪水による浸水などの水害が発生すると、水の供給が制限され、あるいは確保不能となり、または汚染により使用不可となる。水道、電気、ガスを確保できる場合は通常の滅菌・消毒を行うが、制限される場合や確保不能、使用不可の場合は、アルコールを使用した消毒や水での希釈を必要としない消毒薬を用いた消毒方法を選択する。器具は滅菌再生しない使い捨てのキットを使用する。なお、耐熱性器具であれば、釜(できれば圧力釜)とまきによる煮沸消毒を行なうことができるため、そのための準備をしておくことは有益である。

1. 手指衛生:手が目に見えて汚れていないか、またはタンパク性物質(血液・体液)によって汚染されていない場合には速乾性手指消毒薬を使用する。 手が目にみえて汚れているか、タンパク性物質によって汚れている場合には、石けんと清潔な水(ボトル入りの水または配給された水)で手を洗う。患者にも同様のことを指導する。

2. 創傷部位:止血を優先する。創傷部位が汚染されていることが多いため洗浄する。洗浄後、ポビドンヨード液、ベンザルコニウム塩化物、ベンゼトニウム塩化物、クロルヘキシジングルコン酸塩で消毒する。ただし、クロルヘキシジングルコン酸塩の粘膜適用には、アナフィラキシーショックを起こす恐れがあるため禁忌である。災害時における外傷は深く、また粘膜部分が露出している場合があるため、クロルヘキシジングルコン酸塩の使用をできるだけ避け、使用する場合には浅い創傷部位に留める。

3. 消毒薬の選択:1) 水で希釈せずに、使用できる消毒薬を使用する。例として、消毒用エタノール、10%ポビドンヨード液、0.05-1%次亜塩素酸ナトリウム液、0.01-0.2%ベンザルコニウム塩化物液、0.02-0.5%クロルヘキシジングルコン酸塩液などがある。2) 一包化してある消毒薬含有綿製品も活用する。例として、アルコール綿、ポビドンヨード綿棒など。

4.環境・物品:外傷を負った患者が多く搬送されるため、血液が環境・物品に付着する恐れがあり。血液を拭き取った上で0.1%次亜塩素酸ナトリウム液(血液自体には0.5-1.0%)などを使用する。

災害時における感染対策について次のように勧告している。

下水があふれた場合、洪水で浸水した場合またはその他水に関連した緊急事態の場合。

1. 手指衛生:1) 手が目に見えて汚れていないか、またはタンパク性物質によって汚染されていない場合には、以下の場合アルコールを基剤とした手指衛生を実施する。 1)-(1) 侵襲的処置をする前、1)-(2) 各患者に接触する前後、1)-(3) 手指衛生が必要であるときはいつでも行う。2) 手が目にみえて汚れているかタンパク質性物質で汚れている場合には石けんとボトル詰めされた水で手を洗う。

2. 器具:飲料水システムが浸水や下水汚染により影響を受けていない場合は通常の方法で手術器具を滅菌する。

3. 施設の復旧について:1) 硬い表面の設備、床または壁が良好な状態に戻るようであれば、72時間以内に乾燥を確保する。清掃は通常の手順で洗浄剤を使用して清掃する。2) 木製の家具や木製の物品は(まだ良好な状態に戻るようであれば)洗浄し、完全に乾燥させた後ニスまたは他の塗装を修復する。3) 水害の原因に関わらず(例として、洪水と水道管あるいは屋根からの水漏れ)、簡単にかつ完全に洗浄ができ、72時間以内に(湿度計測定20%以下)に乾燥ができない場合、湿っている吸水性の物品(例として、カーペット、ウォールボード、壁紙)、布製の物品は廃棄する。建築専門家によって基盤構造が完全に乾燥したと宣言されたらできるだけ早く新しい資材に取りかえる。