2016 年 11 月 21 日 (月)|RSS Feed
ストレスと認知の矛盾に負けないコツとは!

by 漢方屋

 

認知的不協和について

認知的不協和とは、私たちの思考の中に、矛盾する二つの事実がある状態のことを指す心理学用語です。誰だって、矛盾する考えを抱え込むことってありますよね?その状態が続くとストレスを感じるものです。

私たちにとっても、身近な認知的不協和について知ることで、日常生活のストレスを解消することができます。この記事では、認知的不協和に関する基礎知識と、ストレスの解消法についてまとめました。

認知的不協和とは?

心理学用語

認知的不協和は、私たちの思考の中に、二つ以上の矛盾する考えがある心理状態のことで、たとえば、自分がそれまでに持っていた信念や行動の根本に関わる思考を、否定しなければならない新しい事実に直面した時、人間の心理には矛盾が発生してしまいます。

そして、認知を変化させなければならない状況に陥り、そこで大きなストレスが生まれることがあります。そのような状態のことを心理学用語で認知的不協和といいます。

認知的不協和は心理学用語ですが、私たちの身の回りでもごく一般的に起きているものです。そのため、私たちは生活の中で、知らず知らずのうちに認知的不協和に陥り、大きなストレスの原因になっている可能性があります。

そのようなストレスを解消するためにも、認知的不協和について正しく理解し、知っておくことが大切になってきます。

マーケティング分野でも使われている認知的不協和

認知的不協和は、私たちの生活に大きく関わっており、マーケティング分野でも、この心理状態を利用した戦略が計られることがあります。

たとえば、私たちが何かを買おうとする時(特にその商品を買うことに悩んでいる場合)、本当に購入して良いものなのかという疑問が生じます。

購入したいという自分と、購入するべきではないという自分が混在している状態にあるわけですね。そのような状態に陥った時、私たちは何か自分がものを買うことを、正当化する理由を求めるものです。

その状態は、まさに認知的不協和の代表例であり、私たちは心の中にある二つの矛盾する考えを、解消しようとしているということになります。この時の私たちの心理状態を利用することは、マーケティング分野において重要になってきます。

特にネットビジネスの場合、私たちの思考にある矛盾を解消することは、難しくなってきます。そこで重要な役割を果たすのが、コピーライティングです。私たちが購入をためらっている不安要素を取り除くために、新しい事実を与え、認知を修正する言葉をキャッチコピーにするというわけです。

このように、マーケティング分野においても認知的不協和を利用した戦略は、身近にあるということになります。

認知的不協和には二分類ある

酸っぱい葡萄

認知的不協和には大きく二分類あり、よく言われることのひとつが「酸っぱい葡萄」です。葡萄が酸っぱいという事実は、自力では変えられませんよね?

こうした自力では変えられない状況に陥った時、私たちは自分を正当化するために認知を修正します。たとえば、私たちが「酸っぱくない葡萄」を手に入れようとしている時(それが実現不可能な場合)、私たちは「葡萄は酸っぱいものなのだ」「むしろ葡萄は酸っぱいほうが良い」と認知を変化させます。このような認知の変化が、認知的不協和なのです。

甘いレモン

認知的不協和のもう一つの代表的な分類として、「甘いレモン」という例が挙げられます。「甘いレモン」は、中々無いものなので特別なものとして認知されます。自分にとって特別なものを手放すことは、難しいことですよね?

これを「煙草がやめられない」という心理状態に置き換えてみると、私たちは「煙草をやめなくても良い理由」を探そうとします。たとえば、「煙草を吸っている人の方が自殺率が低い」などです。

このように、私たちが逃げられない心理状態に置かれた場合、別の認知を取り入れることで、自己を正当化しようと試みることが、「甘いレモン」の認知的不協和になります。

認知的不協和の理論

1.認知の矛盾

認知的不協和のはじめには、必ず認知の矛盾があります。自分の考えと事実が矛盾しているという状態は、誰しも経験があるのではないでしょうか?

これも喫煙者の例にたとえてみると、「煙草を吸いたい」という自分の考えと、「煙草は健康によくないものだ」という事実の二つの矛盾が存在します。このような矛盾を抱え込んだ状態が、認知的不協和の最初にあるのです。

2.行動の変更

ここで事実と行動の矛盾を解消するために、私たちはまず行動を修正しようと試みます。私たちは行動を修正することで、矛盾した自分の二つの認知を解消し、精神状態をストレスから解消しようとするというわけです。しかしながら、時として私たちが行動を修正することは、とても困難なことになります。

ここでも喫煙者の例になりますが、禁煙をすることはとてもツラいものです。煙草を吸うという依存・習慣化した行動は、簡単には修正できません。そのような場合、私たちは行動の修正を諦めなければなりません。でも、それではストレスや矛盾が解消することはできなくなってしまいます。

3.新たな認知

自分の考えと行動が矛盾していて、それを解消することが困難な場合、私たちは新たな認知をすることで、自分を正当化しようとします。これによって精神的ストレスを弱めるというのが、認知的不協和のプロセスになります。

煙草の例を振り返ってみましょう。「煙草を吸いたい」という考えと「煙草は健康に良くない」という二つの矛盾があり、もう一つ「禁煙をすることはできない」という心理状態があったとします。

ここで私たちは新たな認知を求め、「煙草を吸う人は自殺率が低い」など、変えられない行為を正当化しようとします。このような認知の変化をすることを、心理学用語では認知的不協和というのです。

認知的不協和の解消と例

認知的不協和の解消法

認知的不協和によるストレスを解消するためには、自分を正当化する新たな認知が必要になってきます。認知の矛盾によって生じた、精神的ストレスを解消するためには、その根本にある認知を修正しなければなりません。

そのために必要なのが、矛盾を正当化するだけの力を持った新たな認知なのです。このように、私たちは認知の修正を意識的に行うことで、認知的不協和によるストレスから解消されることができます。

欲しいものがある時のストレス解消法

欲しいものがある時、それを買ってしまえるならば問題はありませんが、どうしても買えない場合は、ストレスになってしまいますよね?これを認知的不協和に当てはめて考えてみると、まず「買いたい」という欲求と「買えない」という事実の矛盾があります。

この矛盾こそストレスの原因であり、それを解消するためには、新たな認知を取り入れれば良いのです。「買わなくて良い理由」「むしろ買わないほうがいい理由」を探せば、このストレスからは解消されることができます。

ですので、このようなストレスを解消するためには、「ネットで欲しい商品に関する悪い評価を見つける」「セールの期間になればもっと安く買えるかもしれない」などの、新たな認知を取り入れることが効果的になってきます。

最終的には「買わないほうがいい」という結論に達するように、認知を修正してしまえば良いのです。このようにして、認知的不協和のプロセスを取り入れることで、欲しいものが買えないストレスを解消することができます。

苦手な人がいる場合のストレス解消法

職場などで、苦手な人がいる場合のストレスを解消するためにも、認知的不協和の知識は役に立ちます。この場合には、「あの人が苦手だ」という感情と「あの人と関わらなければならない」という事実の矛盾があります。

このような矛盾を解消するためには、苦手な人の自分にとって都合の良い面を見つけることが、効果的であると考えられます。つまり、「自分にとって都合が良い人だから関わるのはむしろ良いことなのだ」と、認知を修正するということになります。

そのためには、苦手な人と積極的に関わって、自分にとって都合の良い面を見つけ出さなければなりません。その人をよく知ることは、苦手だと思っていた人と付き合う場合の、ストレスを解消することにつながるのです。

フラれた場合のストレス解消法

恋人や好きな人にフラれた時は、当然ながら大きなストレスを感じますよね?この場合も認知的不協和にあてはめて、ストレス解消法を考えてみましょう。まず「好き」という感情と「失恋」という事実の矛盾があります。この矛盾を解消するためには、失恋相手の悪い面を認知しなければなりません。

「きっと付き合っていても、上手くいかなかっただろう」という要素を積極的に探したり、フラれた事実に対する文句をならべてみたり、「私にはもっといい人がいる」と考えるようにすることが、ストレス解消につながると考えられます。

恋愛について言えば「のろけ」は、認知的不協和に基づいた行動だとされています。恋愛関係の不安を取り除くために「のろけ」という行動をすることで、相手のことが「好き」だと認知しようとしているのだと考えられています。そう考えると、他人の「のろけ」にもイライラしませんよね?

このように、恋愛について考える際にも認知的不協和を知っておくと、ストレスを感じずにいられるのです。

商品の適正価格を考える時の例

商品の適正価格について考える際にも、認知的不協和を取り入れることは効果的です。たとえば、同じような商品でも、自分が「良い」と思ったものが値段が「安い」という事実があったとします。

一方で自分が「悪い」と思ったもののほうが、値段が「高い」という事実があったとしたら?私たちは、安い商品よりも高い商品の良い点を探そうとするでしょう。ここには認知的不協和が関わっています。

私たちは、知らず知らずのうちに「安いものは悪い」「高いものは良い」と考えてしまいがちです。そのため、いくら良い商品に安い値段をつけても、売れ行きが良くないということが起こってしまいます。

私たちは認知的不協和の考え方によって、「値段が安い」という事実と「商品が良い」という事実の矛盾を解消するために、商品の欠点を探してしまうのです。

以上のようなことがあるため、商品をプライシングする際にも「あまり安い値段をつけ過ぎない」ことが重要だと考えられています。このように認知的不協和は、普段の買い物にも深く関わっているのです。

ライアーゲームの心理学的理論

認知的不協和

大人気コミックのライアーゲームでは、認知的不協和が重要なキーワードになっています。ライアーゲームの主人公の神崎は、恩師の先生に一億円を騙し取られてしまい、天才詐欺師の秋山の協力の上でお金を取り返そうとします。

二人は、ライアーゲームという心理戦で、先生からお金を奪い返そうとするのですが、精神的に追い詰められた先生の状況をみた秋山は、「認知的不協和状態」という言葉を口にします。

秋山は先生の状態を「自分は答えがBだと思っているのに、周りのみんながAだと回答している」ために、不安な状況に陥っていると例えます。

この時、先生は「答えはB」だという自分の考えと、「答えはA」だという周囲の人間の間の矛盾によって、認知的不協和の心理状況に置かれているのです。

その矛盾を解消するためには、「みんながそう言っているんだから答えはAだ」と自分の考えを修正するか「答えはBだ」と、確信するための新たな事実を見つけるかの二択しかありません。これが先生の置かれた状況であり、認知的不協和の心理状態であると言えます。

このように、ライアーゲームでは認知的不協和をはじめとした、心理学的理論が様々な場面でわかりやすく説明されています。

コールドリーディング

ライアーゲームに登場するコールドリーディングも、心理学的理論を使った話術です。ルックスや簡単な言動から相手のことを言い当てることで、私はあなたのことを全て見抜いていると信じ込ませる手法です。コールドリーディングをかけられた人は、相手を信じるしかなくなります。

このような話術をコールドリーディングと言い、占い師や詐欺師が使用しています。ライアーゲームの秋山は、コールドリーディングに長けた人物です。

ギャンブラーの誤謬(ごびゅう)

誤謬(ごびゅう)とは、必ずしも正しくないことを信じ込むことです。ギャンブラーであれば、サイコロで六の目が何度やっても出ない時、「次こそは必ず六の目が出る確立が高い」と信じ込んでいる、主観的な思い込みの状態のことを言います。ギャンブルにはまる人は、このような心理的状況に置かれやすいと言えるでしょう。

混同してはいけない認知症との違い

認知的不協和とは全く違う症状です

認知という心理学用語から、認知的不協和と認知症を混同させてしまうことがありますが、この二つの心理学用語は全く違うものです。認知的不協和は、健常な人が誰もが行う認知の修正のことであり、認知症は高齢者の痴呆のことを主に指します。この二つを間違えないように注意してください。

まとめ

いかがでしたでしょうか?認知的不協和について知ることは、ストレスを解消するコツを掴むことにつながります。この記事が少しでもみなさんのお役に立てれば幸いです。