2016 年 11 月 21 日 (月)|RSS Feed
エボラ生還者の「防御力」に期待の目

by 漢方屋

 

エボラから生還した人の「防御力」に期待の目が注がれつつある。西アフリカの流行地で増える数千人の生還者に活躍の道はあるか。

現地の感染者の30%が生還

米ニューヨーク州立精神医学研究所とコロンビア大学のゼナ・A・シュタイン氏らの研究グループが、公衆衛生の国際誌であるインターナショナル・ジャーナル・オブ・エピデミオロジー誌で2014年12月9日にオンライン報告している。エボラから生還した人はエボラウイルスに対抗できる「防御力」が備わっているのが重要になるほか、いくつもの重要な役割を果たし得ると論じている。生存者が感染者の救援活動に入ることで、介護者に感染が広がるような問題が解消される可能性もある。研究グループによると、リベリアのエボラ患者数は減少傾向にあるが、シエラレオネとギニアではいまだ増え続けている。エボラから生還した人は既に数千人に及び、これまで目が向けられていなかったが、今後はそうはいかないと研究グループは見ている。西アフリカにおいて、エボラウイルスに感染した場合、治癒率は約30%にとどまる。そうした中で生き残った人は経験値も貴重な情報源につながる。知恵に期待する味方もあるようだ。

再感染のリスクがない

研究者によると、第1に、生存者は流行中のエボラ株に対する免疫ができており、再感染するリスクが全く、あるいはほとんどない。防御力は感染者の介護をする上で安全性を高め、万が一、接触があっても発病に至る可能性が大幅に低くなる。非感染者だとそうはいかないわけだ。第2点目として、生還した人の血液そのものが治療に役立つ可能性もあると見られている。提供された血液を生かして、感染者に抗体を付与できれば病勢の悪化を食い止めたり、生存につなげたりできる可能性もある。有効性はまだ証明されていないとはいえ、生存者の血液を使った「受動免疫療法」は注目されている。第3点目に、現地の生還者は現地語を話せるのも重要だという。海外からの支援が入っているものの、現地の文化を理解した上で、恐怖や疑惑を解くことがときに難しい。結果として、暴動が起きることもある。生還者をトレーニングした上で、救援に当たってもらうことで、貧困や偏見といった社会的な問題にも対応可能となる。同様な社会的な側面では、生還者にとっての収入につながる点も大きいようだ。

コミュニティー活動に実績

第4点目は、生還者が中心となったコミュニティーが発生するメリットもあるという。国のような公的組織が介入するのではなく、市民が行動することが本質的には公衆衛生の対策に重要だと見直されているのが大きい。例えば、アフリカのHIV感染の防止でも成功している。コミュニティーの活動の威力が無視できないと研究グループは見ている。医療支援に当たっている国際連合児童基金(UNICEF)、国境なき医師団、パートナーズ・イン・ヘルスといった組織も、エボラの生還者を巻き込んだ救援活動に着手し始めているようだ。今後、国際的にも注目されそうだ。