2016 年 11 月 22 日 (火)|RSS Feed
「あの行為はパワハラでした!」といって退職するため

by 漢方屋

パワハラにより退職するときはどうすべきか!

パワハラが世間を騒がせてから久しくなりますが、なかなか無くならないものです。身近でも似たような事案をよく耳にするからです。パワハラによる退職も他人事ではないかもしれません。パワハラにより退職を余儀なくされた場合、どうすべきか考えてみましょう。

パワハラとはどうゆうもの?

パワハラとは、なんとなく想像はつきますが、その定義と聞かれますと困ってしまいませんか?パワハラが、いざ自分の身に降り注いだ時に、一般的にそれが認定されるものかどうなのか、知っておく必要があります。

パワハラの定義について学ぶ

■職場のパワーハラスメントについて
同じ職場で働いている人に対して、職務上の地位、人間関係などの職場内での優位な立場を利用して、業務上の適正範囲を超える精神的、身体的苦痛を与えることです。又は、職場環境を悪化させる行為を意味します。

■職場での優位性について
パワーハラスメントという言葉は、上の立場の人間が下の立場の人間に対してのいじめ、嫌がらせをさして使われる場合が多いです。

しかし、先輩、後輩間や同僚間、さらには、部下から上司に対して行われることもあります。「職場内での優位性」は、「職務上の地位」に限らりません。人間関係や専門知識、経験などの、さまざまな優位性が含まれます。

■業務の適正な範囲
業務上の必要な指示や注意、指導に対し、不満に感じたりても、業務上の適正な範囲でしたら、パワーハラスメントにはあたりません。例えば、上司は自らの職位・職能に応じ、権限を発揮して、業務上の指揮監督や教育指導をしたり、上司としての役割を果たすことは適正な業務内にあたります。

※セクハラの意味
セクシュアルハラスメントの略で、職場内において、労働者の意に沿わない性的な言動がされ、拒否するなどの対応を取った者に対し、解雇、降格、減給などが行われることです。

又は、性的な言動が行われることで職場の環境が悪化し、言動の対象労働者の能力が、正しく発揮できなくなってしまうことをさします。

※モラハラの意味
言葉や態度、身振り、文書などによって、働く人間の人格や尊厳を傷つることや、肉体的、精神的に傷を負わせ、その人間が職場を辞めざるを得ない状況に追い込むなど、職場の雰囲気を悪くさせることをさします。

パワハラの主な6つの分類について

職場のパワーハラスメントの行為を下記に示します(下記は、職場のパワーハラスメントのすべてを網羅するものではありません)。

■パワハラの分類
1)身体的な攻撃:暴行、傷害
2)精神的な攻撃:脅迫、名誉毀損、侮辱、ひどい暴言
3)人間関係からの切り離し:隔離、仲間外し、無視
4)過大な要求:業務上明らかに不要なことなどを要求
5)過小な要求:仕事を与えない等
6)個の侵害:私的なことにたいして、過度に立ち入ること

パワハラの具体的事例について

パワハラといわれましても、よくわからない人もいるかもしれませんね。具体的には、どのような事例のことを指すのでしょうか?

必要以上の叱責、バカ・アホなど

「仕事を辞めてしまえ」などの、社員としての地位を脅かす言葉や、「無能」などの侮辱、名誉棄損に当たる言葉、「バカ」「アホ」といった暴言は、仮に業務の指示中で言われたとしても、業務を遂行するのに必要な言葉とはまったくいえません。

こうした暴言の精神的な攻撃は、原則、業務の適正な範囲を超えているといえ、パワハラに当たると考えられています。

■必要以上の叱責について
・職場の同僚の前で、上司から、「ばか」などの言葉を毎日のように浴びせられる
・教育訓練という名目により、懲罰的に規則の書き写しなどを長時間行わせられる
・自分のみならず、周囲の同僚も怯え、職場環境が極めて悪化している

仕事が与えられない、意味のない仕事を命じられる

業務上の合理性がなく、能力や経験とかけ離れたレベルの低い、意味のない仕事を命じられることや、仕事を与えられないことは「過小な要求」型のパワハラにあたります。

■仕事が与えられないことについて
仕事での失敗により、上司から、翌日から3週間にわたり、仕事と直接関係のない意味のない仕事をやらされることなどです。

■注意
どこからが「業務の適正な範囲」を超えるパワハラなのかは、行為が行われた状況や行為が、継続的なのかによっても左右されます。

退職勧奨の拒否による降格

■退職勧奨の拒否による降格について
退職勧奨の拒否により、降格や給与削減が行われることはパワハラにあたります。

パワハラによる退職を決意する前にすべき対策とは

パワハラを受けたことにより、精神的ダメージを受けて、精神的な病になる人やそれに伴い退職を決意する人がいます。しかし、退職を決意する前に、やっておくべき対策というものがあります。

録音は有効!証拠を揃えよう

パワハラによる退職を証明するには、証拠能力の高い証拠が必要になってきます。復讐の役割を果たすという意味でも、法律的に申し分のない証拠を用意する必要はあります。

退職後に裁判に持ち込むまではしないとしても、会社に提出するための証拠として使えるからです。証拠を揃えるには、ボイスレコーダーによる録音は有効です。日時や状況の記録を残しておくことも、お忘れないようお願いします。

社内・社外の相談窓口を利用しよう

厚生労働省では平成27年9月より、メンタルヘルス不調やストレスチェックシート、過重労働による健康障害の対策として、全国の労働者等からの電話相談に応じる、窓口「こころほっとライン」を開設しました。

厚生労働省では、「こころほっとライン」の活用推進に向けて、周知を図っているようです。また、社内でも、相談窓口がある会社も少なくありません。退職を決意する前に、電話相談で問題が解決するかもしれません。

労災認定が可能なのか確認しよう

パワハラによる発病する可能性のある精神障害は、適応障害や急性ストレス反応などです。適応障害などの精神的な病は、他の怪我や病気と比べ、精神の病なので、わかりにくく、なかなか労災が下りないようです。まず、労災を申請する場合には、必要なことが下記の3つあると覚えておきましょう。

1)自分がうつ病だという診断書の提示。
2)発病とおぼしき月日から6ヶ月前に遡り、うつ病の原因となった仕事の精神的負担(ハードワークや会社内でのいじめ等)の認定。
3)発病したうつ病原因が仕事上のストレス以外(プライベートなど)で発病したものではないという認定。

適応障害による労災の認定は、非常にはっきりとした記憶がいります(発病から6ヶ月前までに遡る)。そして、心の病という目に見えない不安定な病気の認定基準なので、適応障害とは似て非なるものである、自律神経失調症として認定され、労災申請を却下されるケースもあるようです。

退職の決意が固まったのなら…

退職の決意が決まったのならば、後やることは限られています。大事なことは、退職届の書き方と退職金や失業給付金の確認をすることです。

退職届には「パワハラが理由」と明記する

会社へ退職届を提出する場合には、退職理由を「一身上の都合により」と、自己都合としてはいけません。 それは、自己都合退職扱いにされてしまうからです。 会社の用意した退職届に、署名捺印だけして提出するというのもいけません。

必ず自分の手で退職届を書き、退職理由では「パワハラによる退職」と、はっきりと明記しましょう。そして、退職届を郵送する場合は、内容証明と配達証明で郵送して、しっかりと「パワハラによる退職」であったという証拠を残すようにしましょう。

退職する前に退職金や失業給付金の確認をしよう

会社が「パワハラの事実はなかった。よって自己都合退職になるから、退職金を減額する」などと言ってきて、さらに、ハローワークに提出する離職票に「会社都合による退職」ではなく、「自己都合による退職」と記入される可能性があります。

先ほどのような方法で退職届を提出しておけば、証拠として、会社と戦うことができます。そのため、退職届はコピーし、一部は自分で保管しておきましょう。

また、退職届を提出する前には、離職票の退職理由や退職金の金額について、確認しておくことも大切です。できれば、会社に退職金の金額などを書面にしてもらいましょう。退職届はこれらの確認後、提出するのです。

参考までに!パワハラ裁判の判例を紹介

実際の裁判での、パワハラの判例を紹介します。勝訴と敗訴の両方を掲載致します。参考にしてください。

パワハラが認められた事例とは

■事案
会社Aに勤務していた従業員3名が、上司及び会社を被告として、パワハラを告発し、損害賠償請求訴訟を行いました。原告のうち1名は、被告上司のパワハラにより、適応障害となり、慰謝料とともに治療費及び休業損害も請求しました。

判決は被告上司、会社が行った行為を不法行為と認めて、原告Aは適応障害ならびに休職とパワハラ行為の因果関係を認めて、慰謝料として60万円に加え、治療費を支払うこと及び休業による損害賠償が認められました。

原告Bについては慰謝料40万円、原告Cについては慰謝料10万円の支払いが行われました。以上、判決は勝訴となりました。

■特筆判決ポイント
1)叱責について
被告上司が、日ごろから部下を怒鳴るなど、著しくも一方的かつ威圧的な態度をとっていた事を考えると、被告上司の言動はどれも、業務上の指導の範囲を超えた違法なものであったと判断されました。

2)暴言について
原告は、被告の一方的かつ威圧的な言動に強い恐怖心や反発を抱きつつ、退職を強要されるかもしれないと、常に恐れを抱いていました。そして、それを受忍することを余儀なくされていた判断されました。

パワハラが認められなかった事例とは

■事案概要
被告法人の経営するデイサービスセンターのセンター長であった原告が、上司である被告理事からパワーハラスメントを受けて適応障害に陥ったとして、安全配慮義務違反及び不法行為に基づく、損害賠償として慰謝料請求をした事案。

■判決ポイント
1)原告が業務上必要な物品購入の許可を求めた時、事業推移の状況に応じて、購入を検討すべきであるという考えを持っていた、被告理事と意見が合わなかった。そのため、許可を得ることができず、原告が対応に苦慮する状況が続いた。

2)看護師が退職した際には、原告が新たに看護師募集をチラシに掲載したいと申し出たところ、「あなたが必死になって看護師を連れてきなさい」と叱責し、チラシに募集を掲載することを拒絶した。

以上の事実を認定した。そして、これらの行為により、原告は相当の心理的負荷を受けたことが容易に想定できるとした。しかしながら、被告理事が原告に、パワハラ行為を行う特別の動機はなかった。

仮に、被告理事の指示や叱責等に行き過ぎがあったとしても、理由は発足したばかりのデイサービスの経営を軌道に乗せるためで、安定的な経営体制を構築しようとしていたためであった。それを超えて、原告に対する個人的な恨み等はなかったとした。そして、結果として原告は敗訴となった。

パワハラ理由で退職する時は退職金や失業給付を確認!

パワハラで会社をやめる時、どのようにすべきかについてまとめてきました。上記のように、パワハラで退職するときは、退職届の文面で退職理由がパワハラであることを、明記にしておくことは大切なことです。

また、退職届とあわせて、離職票の退職理由にも注意が必要です。離職票の退職理由が自己都合退職になると、失業給付で不利益を被ります。会社に退職届けを提出する前に、離職票の退職理由欄と退職金、失業給付については確認する事はとても大切です。